【リスボン】アートとカルチャーを深掘り〜Lisbon Street Art Tours
ボンディーア!
今日のリスボンは朝からあいにくの雨・・・。しかし、前々から興味のあった『Lisbon Street Art Tours』のオープンツアーに参加してきました。
ガイドさんの案内で、Birro Alto(バイホ・アルト)と、Mouraria(モラリア)というエリアのストリート・アートを3時間ほどかけて鑑賞しました。
これまで、リスボンのストリート・アートを称賛すると同時に、至る所で見られる落書き(Tagging)については複雑な思いでした。なぜなら、アメリカでは、落書きを放置すると街の治安が悪化すると言われ、見逃すことのできない違法行為という認識だったからです。
世界第3位の治安の良さを誇るポルトガルの首都が落書きで埋め尽くされているのが不思議で仕方がありませんでした。
街はメッセージで溢れている
今日、ツアーに参加したことで、なぜ街にアートや落書きが溢れているのか、少しだけ理解できたような気がしています。
2000年代、ポルトガルは経済のどん底。建物を装飾するアズレージョ(タイル)が剥ぎとられ、闇市で売られるようになったそうです。
廃墟だらけとなったリスボンで、悲痛な訴えを壁の落書きやアートで表現するムーブメントが起こったのが「Birro Alto(バイホ・アルト)」でした。
その名残りか、今でも“アーティスト”や“グラフィティ・ライター”のメッセージで溢れています。
リスクを追ったゲーム
苦労して制作しても、すぐに塗り潰されるかもしれないリスクを抱えているのがストリートアート。
ガイドさん曰く「それどころか、違法な行為だから警察に捕まるかもしれない。さらに、犯罪行為を知りながら通報しない人にも罰則がある。もちろん、彼らの活動時間は人目につかない深夜」とのこと。
そしてストリートでの活動は一種のゲームだそう。「ストリートアートは世界共通のコミュニケーション。リスペクトを得れば、上書きされることなく生き残るし、作品の横や上に書かれたメッセージで評価がわかる」。
私もそれは感じていました。素晴らしい作品の上には、落書きがない・・・。同じように、アズレージョ(タイル)の上にもスプレーされていることがほとんどありません。ストリートにはストリートのルールがあるんですね。
どの壁を選ぶかでも、そのアーティストやグラフィティ・ライターの力量がわかるそう・・・。深いです。
合法の壁も実力主義
違法行為でリスクを犯す活動である一方、リスボン市が用意した合法のパネルを飾るアートもあります。
その一つが『Galeriα de Arte Urbana』、通称GAU(ガウ)という団体が運営しています。
トラムのグロリア線(Ascensor da Glória)が往復する急勾配のCalçada da Glória沿いに、何枚ものパネルが設置され、アーティストが自由に作品を描けるようになっています。
気候の良い季節だと、1週間ごとに作品が上書きされることもあるそう。
合法とはいえ、ストリートアートの世界は実力主義。アーティスト同士の厳しい評価とせめぎ合いで、作品がどれだけ長く在り続けるかが決まるのです。
世界中のアーティストが集まる壁
ツアーは、Birro Alto(バイホ・アルト)から、Mouraria(モラリア)へ移動。少しずつ坂を上り、最終的に、Caracol da Graçaという小さな路地にたどり着きました。
そこは、「青空ギャラリー」とも言うべき場所。階段の両脇の壁に描かれた世界中のアーティストの作品が鑑賞できます。
リスボンの違う顔を見たい方はぜひ
簡単には語り尽くすことはできませんが、とても充実したツアーでした。ガイドさんのアートとアーティスト支援へのパッションがすごい!
「普通の観光地だけでは物足りない」、「リスボンを違う角度から見てみたい」という人にはおすすめです。
ちなみに、ツアー料金は設定されておらず、代わりに寄付を募っています(一人につき10〜20ユーロ推奨)。ツアー会社の収入になると同時に、パブリックアートプロジェクトの運営費としても使われるそうです。
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